教育実践

校長としての教育実践①

校長としての仕事の一つは、挨拶です。時期に応じてUPします。参考になれば幸いです。

まず、令和2年度の卒業式の式辞です。この年度も、新型コロナウイルスによる様々な制約があり、校長としても厳しく、悔しい一年間でした。

卒業式も時間短縮が指示され、出席者も来賓等は呼べず、在校生も代表者しか参加できない式となりました。

さらに、私はこの年度で定年退職でした。私自身も卒業です。

令和2年度卒業式 

式 辞

 

 各地で桜の開花が宣言され、いよいよ春本番のおとずれを感じさせる今日、令和2年度 〇〇小学校卒業証書授与式が挙行できますことを 大変うれしく思います。

 小学校の課程を修了し、〇〇小学校を卒業するみなさん。 ご卒業おめでとうございます。

 昨年度同様、新型コロナウイルス感染症 感染拡大防止のため、来賓の皆様や在校生のいない寂しさはありますが、こうして今日、みなさんに卒業証書を渡すことができ、本当にうれしく思います。

 私はこれまで、卒業式の式辞では、10年前、卒業式を目前に東日本大震災で亡くなった小学生に思いをはせながら、今、生きていることの尊さや、日々、当たり前に過ごしている大切さを感じてほしいという話をしてきました。

 地震や津波ではありませんが、私たちは新型コロナウイルスによって、このことを実感させられています。

 1年前の春、突然学校が休みになり、いつ再開されるか分からない時、当たり前に学校へ来ることがどんなに楽しい日々であるかを実感したのではないでしょうか。

 また、学校が始まり、友だちや先生と会えた時のうれしさを覚えているのではないでしょうか。

 朝夕の検温で健康を確かめ、元気でいることのありがたさを感じているのではないでしょうか。

 日々、当たり前のように過ごしている日常は、奇跡の1日であり、その1日1日を大切に生きなければならないと思います。

 その大切な1日を、コロナウイルスと懸命に向き合い、患者の命を救おうと、頑張ってくれている人がいます。その人達は私たちと同じ人間です。おそらく自分も感染するかもしれないという恐怖と戦いながら、働いてくれているのです。本当に頭が下がる思いです。

 ところが、このような医療従事者や、感染者への偏見や差別が問題となっています。これまで何十年も人権教育を行ってきた一人の教育者として、怒りと失望と無力さを感じずにはいられません。

 人は一人では生きていけない。周りの自然や人に助けられて生きているんだということを、私たちは今、もう一度考えなければいけません。

 みなさんはこの後、中学校へ進学します。中学校でも、このことをくりかえし考え、学んでほしいと思います。そして、苦しいときこそ、皆がそれぞれの知恵や力を出し合い、多様な考えや生き方を認め合い、互いに支え合う未来の社会を 皆さんの手で創り、発展させてほしいと願っています。

 皆さんは、私たち大人の未来です。〇〇小学校の精神である就将を胸に、くれぐれも健康には気をつけて、元気で楽しい中学校生活をおくってください。

 保護者の皆様、本日はお子様のご卒業おめでとうございます。

 卒業証書を受け取るお子様の姿に感慨もひとしおのことと存じます。これまでの御労苦に対し 心から敬意を表しますとともに、これまで〇〇小学校教育にいただきましたご支援とご協力に感謝申しあげます。

 子どもたちは私たち大人の背中を見て育つと言います。今、私たち大人もどうして良いか分からない時代を生きています。しかし、その中で、自分のことだけでなく、思いやりをもって他者と協力し、この時代を乗り越えようと頑張っている大人の背中を見せ続けていくことが、何よりの教育になるのではないかと考えます。どうかよろしくお願いします。

 卒業式の時間短縮のため、簡単そじではございますが、卒業生のみなさんの未来が 希望と夢にあふれた世界になることを心から祈念し 式辞といたします。

 

  令和3年3月18日  

 徳島市〇〇小学校校長 今川 仁史